Dog ears

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無題

 「害獣を殺して「可哀想」と声をあげる人々は馬鹿である」というブコメの向きを眺めながら、ああ、生き物を殺すということにまつわる常識すら自分達は忘れているんだなと漠然と思う。もちろん、自分の立ち位置を言ってしまえば、明らかにこのブコメの人々と同じ場所に自分はいる。農作物を荒らすだけでなく人も襲う動物を殺しても「仕方ない」という見解に落ち着く。とは言え、何かを殺す以上、そこには必ずヘイトが生まれる。これは学生時代に戦争や紛争に関わった人々と話していて深く感じた事だ。人を殺せば恨みを買う。だから害獣はその地域の人々に恨まれるが、その害獣を殺したヘイトは別の人間が受け継いでいく。深く考えず「仕方ない」と言う人々はこの二つの流れが全く別軸の話だと思っているが、実際は同じ道理で繋がっている。「田舎にとっては脅威だから殺すのが当たり前だ」という理屈を使えば使うほどその結びつきは深くなり、使う側はそれを正しい事、賢い事として認識して、自分達が恨みを買っているとは全く考えない。人間の社会においてそういう構造は至る所にあるし、一方を「正しい」としている以上多くの人にとって障害にはならないが、しかし、この構造を知らないままでその正しさをひけらかしている人間はいつ見てもひどく醜い。