無題

 言葉を紡ぐのが怖くなった。もう何年も前から感じていたが、このブログを読み返すと昨年はその思いが弱まっていたらしい。我ながらなかなか酷い記事もあった。私達は容易に言葉が紡げる。理屈も、感情も、全て言葉で表せてしまう。言葉で解決出来ると考えてしまう。今目の前にある言葉がその物事の全てであると認識してしまう。言葉が自分を定義し、言葉が相手を定義し、言葉が私達に答えを求める。しかし私達は言葉そのものではない。虎の威を借る狐であり、同時に操られる傀儡でもある。自分の言葉がいくら支持されても、人は私を見ていないし、私もまた相手を見ていない。夢と現の区別は人が思うよりも遥かに曖昧で、同時にあまりに明瞭で私達を隔てている。人も思想も行動も言葉も全て常に矛盾している。世界は常に幾つもの側面によってフィルターされていて、人間にはその世界を正確に推し量る能力を持っていないが、言葉にはその可能性があり、しかしそれを成すには自分を捨てなければならない。今日日、ネット上では多くの人が言葉で自己実現を果たそうと頑張っている。私は正直、それに付き合うのにうんざりしているし、私自身にも時々垣間見えるその願望を強く警戒している。だからまあ、今年は少し腰を据えて口を閉ざしたい。遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。