Dog ears

更新時間 09:30、10:30、11:30、13:30、14:30、15:30、18:30、19:30

無題

 私は、ネット上で自分を弱者だと自称する人が苦手だ。弱者。そう、確かに彼らはそうなのだろうと思う。相応の過去があり、相応の苦労があり、何かを失ったり、傷ついたりした末に、今の彼らがあるのだろう。そこに異論を唱えるつもりはない。だが、ひるがえって自分はどうか、と考えると、自分を弱者と定める事が出来ない。過去はある。傷もある。薬を10種類以上飲んで、ベッドから動けなかった時期もある。身体中から浸出液が出て、痛くて、じめじめして、臭くて、人前に出るのが物凄く辛かった時期もある。私の学生時代は殆ど傷と黒歴史で埋まっている。身体的にも精神的にもまだ寛解とは言えず、現在でも薬を8種類飲んでいる。だが、今自分を「弱者」だと定めてしまったら、何か大切なものを失う様な気がしてならない。あるアニメに、「早く人間になりたい」という台詞があり、今でも時々口ずさむ。そう、自分がなりたいのはいつだって人間だ。ごく普通の、ありふれた人間。それは決して弱者ではない。人の手を借りず、自分の身の回りの事は自分で出来る、そういう人間に私は長い間なりたかったし、今ではその本懐に手が届きそうな位置にいると思っている。弱者。それはとても惨めなものだ。ベッドの上で痛みに喘ぎ乱れる呼吸の中で仕事に行った家族が帰ってくるのをただ待ち望んでいるだけの、犬よりも惨めな存在だ。私は自分を弱者だと言いたくない。言えるはずがない。私は這い上がる。足を引っ張る過去なんて振り切って、ただ歩いていく。それを望んでいる人間なら、自分を弱者などとは言えないはずではないのか、と私は思ってしまう。

広告を非表示にする