無題

 「ばくおん!!」というバイク漫画がアニメ化されるという公式のアナウンスを見た時、「ああ、ついに来てしまったか」という思いが否めなかった。趣味で1000ccのバイクに乗り、普段の足には125ccの原付き二種を使っている身として、昨今では希少なバイク漫画としてかの「ばくおん!!」は既に目を通していて、ネット上の情報から「どうもアニメ化するらしい」という話は既に聞いていたのだけれども、これまでに10回くらいは読み返した今になっても、この作品をバイク漫画と認めていいのかどうか確信が持てない。何故かと言うと幾つもの争点があって形容し難いのだけれども、大雑把に言ってしまえば、この漫画の内容は自分の「バイク観」に合わないと言わざるをえない。この作品、タイトルから分かるように一時期流行っていた「けいおん!」という漫画やアニメのタイトルや内容を模して描かれていて、内容を端的に言えば可愛らしい女子高生がバイクを通じてキャッキャウフフするというものなのだが、その「キャッキャウフフ」というのが個人的にはバイクと相性が悪いと思う。何故って、バイク乗りの大半は数十年前のバイクブームを経験ないし憧れていたおっさん世代であり、「バイク=不良の乗り物」というイメージが定着している事もあってかバイク乗りは8割方が男だ。ショップの主催するツーリングは常に「おっさんの集い」の様相を呈している。そしてまた、「バイクで群れて走る」という行為には一定のストレスがつきまとう。何故ならバイクというものはツーリング向きからスポーツ向きなものまで多種多様な種類があり、その種類によって「走っていて気持ちいい速度」というものが異なっている。したがって「色んな種類のバイクが集まって走る場合」というのは、集団行動の原則にのっとり「遅いバイクに合わせる」というのが基本になるわけで、それに付き合わざるをえない人間にとってはあまり面白い話とは言えない。なので自分などは基本的にそういう集いには興味を持たず一匹狼のごとく一人で走り回るのが常であり、そこに「キャッキャウフフ」は無い。しかし勿論、群れて走る人間もいる以上そういう要素も十分にありうるのでそれはいい。一番の問題は、この作品全体に漂う「アクの強さ」だ。例えばこの記事にある様に、物語の序盤では何度か自転車乗りの話を面白おかしく「弄る」。それは自転車に関係のない人間にとっては素直に笑えるものかもしれないが、バイク乗りであると同時に自転車乗りである自分などは最初に読んだ時は「ふざけるな」という思いが強かった(そして補足するなら、自転車乗りはローションなど使わないしレーサーパンツの中にはちゃんと下地が入っている)。他方、自転車だけでなく同じバイクの中でも、例えばドカティなどは執拗に「よく壊れる」という側面が描かれる。これも勿論基本的には笑いを取りに行く方向性であり、また「古いドカティがよく壊れる」というのは周知の事実なので問題かと言われると微妙なところだが、構造は「弄り」に他ならない。という、まあ、この作品には「際どい」と言わざるをえない点が幾つかあって、諸手を上げて「面白い」とは言い難いというのが正直なところだ。もちろんそれ以上の事を言う気はないし、これからこの作品を見る人などは素直に楽しんでくれていいと思うのだけれど、「バイク乗り」という観点から言うと、実に悩ましい。

広告を非表示にする